気がつけば夏の終わり。
今年の夏は絵の具まみれの夏だった。
ぐちゃぐちゃに絵の具まみれで、ぐちゃぐちゃに汗かきながら創った夏。
休む暇なくそれが続いて、気がつけば夏が終わる。
残暑と一緒に、この夏の仕事たちもあと少し残った。
そして、新しく秋を迎える季節と一緒にまた新しく創ることが始まる予感もくれた。
創ることとそのまわりの人達との夏だった。
始まりは、ミストの2F。
450枚の鏡で天の川を創った。
映るシャンデリアやライトの光も星に変わる。
24歳の夏に見た甑島の天の川の記憶。
新しく七瀬にopenするお寿司屋さんの外壁。
家紋を入れることのみ要望があり、後は自由にやらせてもやった。
夕方からの屋根の上での制作は、夏祭りの一人舞台だった。
下にはたくさんの見物人が出た。
それから私が教える予備校のかわいい生徒達とシャッターアート。
座る道路からも夏を感じたり、夜は夏の匂いがしたね。
宇宙に私も、私という星、ダイヤモンドを描かせてもらった。
描ける日がある限り、雨の日もずっとずっと描き続けていた。
強く優しい絵。
ありがとう。
東京造形大学の恩師、教授の生嶋さんが長野に来たので、一緒にお酒を飲む。
本当によく飲んだ仲。
お酒の席で、造形大学広報の人を、真剣に周りの目を気にせずに、
学生のことを考え怒っていた。
そんなことしてるとこの子が泣きますよ。と怒っていた。
人を真剣に怒れる人であることに改めて感動した。
自分の利益以外で、こんなに叱って、訴えてくれる人は長野にはいない。
私のころは、帰れと言っても聞かず、描く、遊ぶ、そんな時代だったと言っていた。
何もかも夢中にやった。
守りに入ることを知らない攻撃的な学生だったと思う。
みんな目をぎらぎらさせて、ぶつかった。
次の日に、ばあちゃんが今朝採った夏野菜を段ボールのまま電車で抱えて持っていき、
おみやげに渡した。
生嶋さんも段ボールのまま抱えて、東京に持ち帰った。
太陽の下の緑色の野菜と、懐かしい思い出。
まだまだ戦い続ける人たち。
それから南石堂町のお祭りにて卒業生(大学生)と在学生と一緒に壁画制作。
また、ダイヤモンドを描いた。今度はそれに目を入れた。
帰ってきてくれてありがとう。
絵の具だらけの手で飲む昼間のビール。
壁画の繋がりで、夜は、南石堂町のお祭りにて
卒業生と2人で、20分間のLive Painting。
次の日も次の日も、興奮していた。
描き終えて、一番感じたことは
私は、描くことが好きだということ。
絵を描くときの私の目を、私が他の何をしているときにも見たことがないとよく言われる。
それから、酔っぱらっているところしか見たことがなかったと、よくこういう場面や作品をみてすごく驚かれる。
そのたびにやったね。と思う。
最高のほめ言葉だと思う。
苦しいところを見せて、絵は見せられない。
苦しく必死なことも笑って難なくやったような顔をしていたい。
私の努力や苦労は、内側に。
絵の表面には、もっと言葉にならないことを。
というかまだまだ努力や苦労がたりない。
簡単なことをより深く。
深いことをより簡単に。
なんでもないようなことをより大事に。
大事なことをよりなんでもないように。
2月にFLAT FILEにて個展が決まった。
GalleryオーナーのモリヤさんはんN.Y帰りの方で、(たしか、むこうには10年ほど住んでいたと言っていた)
いずれはFLAT FILEごとartistを抱えてN.Yに持っていきたいなんて話をしながら、Drawing10点を預けた。
1年間FLAT FILEにて、販売していますのでよろしくお願いします。
私もまだ見ていなくて、モリヤさんのハンドメイドの額に入れられているはずなんで、楽しみ。
2月の個展は、モリヤさんのご希望によりDrawing展です。
そういえばDrawing展は初めて。
200から300枚展示してほしい。と言われました。
じゃあ1000枚以上はとりあえず描こうと思った。
以前になるべく早くにやりたいと言ったら、みんな制作が間に合うか心配なので、なるべく遅い月を希望しているという。
私は空いている月の一番早い月を希望した。
私は二月でも遅いくらいだ。
創ることをそんなにのんびりやっていたら、そのまま何も創らず、死んでしまいそうで怖い。
すごく楽しみ。何が楽しみかというと、
自分がまた変われそうだから。
私の知らない私に会いたいのです。
N.YのGalleryもいくつか紹介してもらった。
以前から描いている身近な夢は、N.Yや海外に作品を見せていくことだったので、
ほんの少しだけその夢に近づけそうな予感。
まだ何も自分で動いてないので、ただの予感。
N.Y帰りのモリヤサんが作品を褒めてくれるのは、本当に嬉しいこと。
そして、お寿司屋さんの2Fの上座。
これはすべて任せてもらえたので、私の好きにやらせてもらえた。
それって、すごいこと。そしてプレッシャーで緊張したり落ち込んだりしながら、
完成した。
幹は白で、花はドットにした。
メニューには、腕前のある寿司職人さんのお寿司とアジアン料理になるらしく、
ワインも出すと言うので、赤ワインのメニューを増やしてもらった笑
その上座は、和よりにぜずモダンにした。
ある程度の形になるまでは、不安で不安で徹夜して朝9時過ぎまで描いた。
汗をかきながら一人静かに描くことは、本当に贅沢な時間で。
疲れきった体で、出来上がっていく花の下、贅沢な夏の花見をした。
それからライバル達と1泊2日のキャンプ、バーベキュー。
ここはお皿だから使っていいよ。と絵の具のついたズボン。
当たり前の堅い頭を持たぬ人たちとの時間は、ゆっくりとした時間。
前々日は、描くときも日常でも聞いている音楽を生で聞きに、
一緒に6人でクラブに行って、全身筋肉痛に。
みんな好きな時間に一人一人帰っていった。
Jazzin’parkの栗原さんと話した。高校生みたいだね!と言われた笑
何か一緒にできたらいいな。
みんながびっくりすること!
それからArtistでもある、多摩美の講師の栗原一成さんと意気投合し、いろいろ話せたこともいい時間だった。また栗原さんと東京の多摩美学生達と一緒にお酒を飲みながら、日本のアート界を盛り上げていく話ができたらと思う。
そんな私の夏の残暑は、新しいお店の絵の依頼がおそらく3店舗とお寿司屋さんのトイレデザイン。クラブでのLIVE PAINTING。そして、1000枚を越えるDrawingを始めること。
本来の自分の絵を描くことと、お店へのデザインは決して重ならないけれど、
長野が私でいっぱいになることや、創ることは本当に楽しい。
もう一つ、決めたことがある。
けれど現実になるまでこれは言わない。
たくさんの絵の具まみれが幸せで、もっともっとそうなりたい。
After Summer.2010